耳鼻咽喉科QandA 2021.9.3
【鼻編】
①鼻の中で変なにおいがします。ちくのうですか?
A.鼻の中には細菌がいます。変なにおいの原因は細菌の匂いなのですが、量がふえてくるとにおいがします。よく心配されるのが副鼻腔炎(ちくのう)ですが、かぜや、鼻炎、鼻痂疲(かさぶたや鼻くそ)などでも特有のにおいがすることがありちくのうではないときもあります。
②市販の点鼻薬がききません。なぜですか?
A.市販の点鼻薬には血管収縮作用がはいっているタイプがあります。
血管収縮作用のあるものは速効性がありますが、使用頻度おおかったり、使用期間が長いと
萎縮性鼻炎といって鼻の粘膜が委縮して、鼻が通っている感覚そのものが鈍感になってしまいます。
③市販の風邪薬とクリニックでもらった薬は一緒にのんでいいですか??
A.風邪薬に含まれる成分と似ている成分があるかもしれません。
一緒に内服するのは避けた方がよいでしょう。
④アレルギーは治りますか??
A.アレルギーは体質ですので、基本的には治りません。
スギやダニ(ハウスダスト)アレルギーの方には舌下免疫治療で
アレルギー体質が改善するものもあります。
④-1
いつでも舌下免疫治療ができますか?
A.小児の適応はありますが、服薬管理は親にしてもらい継続していただくことが重要です。また開始または継続されている方は、体調管理をおこない、体調不良の場合はスキップをしてください。開始時期については、スギは6月頃~12月 ダニはどの季節でも開始できます。
⑤朝に鼻がよくでます。日中は鼻はでません。どうしてですか?
A.鼻の粘膜は副交感神経系が優位になると鼻汁分泌が促進し、鼻水が産生されやすくなります。つまり、寝ているときは鼻水がでやすいです。
また鼻の粘膜が敏感な方は一定の割合でおられ、アレルギーや感染症以外でも鼻がでます。それらは、血管運動性鼻炎といわれ、点鼻薬や鼻炎薬などが使用されます。
もちろんアレルギーのある方は寝具などについてるハウスダストに感作され鼻炎症状がでることもあります。
⑥こどもですが、ずっと黄色い鼻がでています。
A.こどもは鼻の粘膜が敏感であり、鼻水がよくでます。
また免疫力がまだ弱くかぜをひいても症状がつよくでたり、ながびくことがあります。いったん発熱や咳症状などがおちついても、鼻の中には細菌が常にいるため、細菌を減らすために、鼻水をだして、やっつけ、それで黄色い鼻がでます。
治療については、発熱などの症状がなく、中耳炎にもなっていない場合は、去痰薬や鼻炎薬で経過観察を行い、中耳炎や発熱などがみられる場合は細菌を減らすため抗生物質を数日飲んで様子をみます。
⑦抗ヒスタミン薬をずっとのんでいても大丈夫ですか?
A.慢性の鼻炎の場合投薬期間が長くなりがちです。
続けて内服することには問題はまずありません
抗ヒスタミン薬を内服することとでの体のデメリット(眠くなる)はありますが
日中の鼻炎症状で困っているならば内服を続けるほうがメリットは多いと思います。
また点鼻ステロイド薬も使用することもありますが、体への悪影響はまずありません。
⑧目ヤニがでます。
A.鼻炎の時は、鼻と眼をつなぐ管(鼻涙管)がせまくなり、目ヤニがでることがあります。
鼻炎の治療とともに、抗菌点眼薬を用いる場合があります。
⑨夏から秋にかけて鼻症状や眼の症状がでます。花粉症ですか??
A.目の症状がある場合はイネ科やブタクサ、ヨモギなどの花粉症の可能性があります。
またハウスダストの中のダニ(ヤケヒョウダニ)などは高温多湿の環境で増えますので夏場から症状が悪化することが多いです。
寝具などはこまめに乾燥をすることをすすめます。
【耳編】
①みみなりは治りますか??
A.急性期の耳鳴はなおるものもあります。また慢性期については
治療のアプローチが急性期と異なり、多くは持続している耳鳴りを気にならなくするとことがゴールとなります。
②耳がポコポコなります。
A.ポコポコなる音は鼓膜が実際に動いている音のことがおおいです。
鼓膜張筋の過緊張、あぶみ骨筋の過緊張が原因で交感神経(興奮しているときに優位になる自律神経)の興奮により、筋肉に収縮反応(筋痙攣)が生じています。自律神経調整薬や、筋弛緩薬にて経過をみます。
③みみが痛いです。
A.耳痛の原因は
外耳炎・中耳炎・顎関節症・扁桃炎・逆流性食道炎・帯状疱疹・虫刺され・などがあります。診察をうけてもらい、原因を探ります。
④慢性の感音難聴(加齢性難聴など)はなおりますか?
A.基本的に耳の神経の加齢現症であり、手術や投薬治療によって改善するものではなく現状維持を目指します。
中等度難聴(41から55dB)から高度難聴(56dB以上)については補聴器をすすめる場合もあります。
【咽喉頭編】
さいきん喉がイガイガします。どうしてですか?
急性期の咽頭症状はウイルスや細菌などの感染症を疑うことがおおいです。
慢性的なのどのイガイガ症状の原因は
①感染症(急性・慢性)
②胃酸逆流
③乾燥、喫煙、飲酒
④アレルギー
⑤精神的なストレス
の大きな5つの複合要因が絡んでいます。
また癌などの病気もまれに潜んでいることがあります。
Q扁桃腺の手術はしたほうがいいですか?
A.大人は
①慢性扁桃炎→年に3-4回扁桃炎をくりかえす
②睡眠時無呼吸症
③IgA腎症の方
が手術の対象となることが多いです。
B.小児は
①扁桃肥大 1歳~4歳 陥没呼吸などがある重症以外は手術はせずに経過観察となることもあります。
②扁桃肥大+無呼吸 4歳以上ならば手術加療もすすめます。いびきだけなら経過観察となる場合もあります。
③扁桃肥大+無呼吸+慢性滲出性中耳炎 投薬治療で3か月以上経過観察で軽快しない場合はチュービング術とともにすすめることがおおいです。
【めまい】
①めまいがします。メニエールといわれたことがあります。メニエールですか?
A.めまい症状に随伴する耳症状(難聴・耳閉塞感)などがあるときはメニエール病の可能性があります。聴力検査を行わずにメニエール病の診断は困難です。心配であるならば耳鼻科を受診しましょう。
B.耳症状がない場合は良性発作性頭位めまい症が頻度が多いです。
C.前庭神経炎・ウイルスや、虚血により神経炎がおきます。前庭神経炎は症状は長くつづく場合がおおいです。
D.内耳虚血性めまい(迷路動脈 前下小脳動脈などの虚血)
動脈硬化、糖尿病や、高血圧などの虚血性疾患のリスクの高い方や、脱水症、自律神経失調などが原因でおきます。これらの症状は他のめまいとともにおきることもありますが、多くは一過性であり、診断がつきにくいことが多いです。経過から疑われる場合は対処療法とともに原因治療もすすめます。
E立ちくらみ 脳への血流低下による脳貧血
・こどもの場合は起立性低血圧という病気と診断されることもあります。
・大人の場合は糖尿病・更年期障害・自立神経失調症などが原因でおこることもあります。
・高齢の方も自律神経系が弱くなり、いきなり立位をとるとふらつくことがあります。
【顎関節症についての説明】
耳の痛みを訴えられる患者さんで外耳炎でも中耳炎でもない方がよくおられます。それらの方は、顎関節症が疑われることがおおいです。顎関節症とは、
噛み合わせ
噛み方の偏り
噛みすぎ(ガム・硬いたべもの)
頬づえをつく
寝ている間の歯ぎしり、ストレスでの噛み締め
うつぶせ寝
スマホの触りすぎ 猫背
重たいものをもつ
楽器演奏者(フルート クラリネット 管楽器 バイオリン)
スキューバダイビング
格闘技などのスポーツ
などが原因で顎関節および咀嚼筋に力が入り、関節周囲の痛みが生じます。
対処法は、ふだんから
口半開き
マッサージ(顎の関節のまわりの筋肉をほぐす
やわらかいものをたべる
をおこなってください。
また、痛み止めや筋弛緩薬などをもちいて経過観察をする場合もあります。
【その他】
自律神経失調の原因は何ですか??
自律神経には、交感神経 (ノルアドレナリンが神経伝達)と副交感神経(アセチルコリンが神経伝達)とがあり、体のいろいろな調整を行っております。
自律神経に影響をあたえるのは、身体およびその周囲の環境、とりわけ
★睡眠不足
★女性ホルモンの低下
★ストレス 精神疲労
★肉体疲労
★カフェイン摂取
★気圧変化
などの影響をうけやすいです。
【赤ちゃん編】
①中耳炎は治りますか??
たいていの場合原因となる感染症がおちつけばそれとともに治癒します。
しかし、赤ちゃんは中耳内腔がせまかったり、鼻と耳の距離が近いため、小さいお子様ほどくりかえすことが多いです。
②赤ちゃんにもアレルギーはありますか?
あります。簡易検査(指先で採決)は1歳くらいから当院でおこなっております。
【妊婦さん編】
①お薬を飲んでも大丈夫ですか?
赤ちゃんへの影響がでやすい妊娠初期は投薬なしで様子をみることもありますが、ママの健康状態が悪化する場合は赤ちゃんにも悪影響がでることがあり、妊婦さんでも安心して内服していただけるお薬を処方します。
②のどがイガイガするのですが。。
赤ちゃんがおなかにいる場合に胃酸逆流をおこし、のどが炎症をおこすことがあります。
【授乳婦さん編】
①お薬を飲んでも大丈夫ですか??
当院で処方するくすりは、授乳中に赤ちゃんには影響がでにくい薬なので安心して内服してください。リンクページ→妊娠・授乳とおくすり